- 東京都・郊外のとある場所にあるメイドインジャパンの時計メーカー「ZEROO TIME(ゼロタイム)」の本社兼工房に行ってきました。
郊外とはいえ、ここは東京都。
ですが、私が普段頻繁に行き来している東京とはまったくの別世界。着いて早々から視察のあいだ中、軽いカルチャーショックを受けていました。
歴史のあるマンションだそうで、すでに築30数年が経っていると説明を受けました。
もともと勾配のある丘に建つマンションなので特殊な佇まい。それゆえにエレベーターはありません。この階段を登り、各フロアの両サイドにあるそれぞれの家屋へとつながります。
エレベーターがないのが難点だとZEROOの担当者は言われていましたが(たしかに日々通う人にとってはそうかもしれないが 笑)、私はとても上質な空間に終始惚れ惚れしていました。
閑静な住宅街にあらわれる巨大なマンション。日本の(その年代の)マンションとは思えない雰囲気があり、それがどことなしにアートにも感じられる。そして木をふんだんに使った室内はとても居心地の良い空間でした。
さて、当社が昨年末から取り扱いをはじめ、非常に好調な売れ行きをしているZEROOウォッチですが、この本社兼工房でアセンブリーされています。
一部のベースムーブメントこそ海外(アジア)より供給をうけてはいるが、ブラッシュアップ作業には相当な手間を掛けていると思われます(これはあくまで私の想像)。その他あらゆる厳しい点検がなされ、すべてのZEROOウォッチがここで製品として誕生します。
そしてZEROOウォッチの設計およびデザインもすべてこちらのオフィス内で行われているのですが、じつはZEROO TIME社のオーナー自身がデザイナーなのです。私はこれが非常に大きなことだと思っています。ZEROOのフィロソフィーに沿った色濃い時計が生まれる要因であり、同時に、大きなコストダウンにもつながっていると言えます。
(※私はこの二つのことがZEROOの最大の特徴かつ魅力であると思っています。)
入念な精度チェック、動作点検などを経て、万全な状態で日々当社をはじめとする全国の販売店や世界の販売店・ユーザーに向け、ここから出荷されています。一方で、お買い上げいいただき、お客様の手に渡った時計のメンテナンスや修理などもすべてこちらの工房で行われています。
年間生産 約2,000本。規模としては決して大きい部類に入らない時計メーカーですが、かと言ってマイクロブランドというほど小さなメーカーではありません。なぜならアメリカやヨーロッパを中心に世界中のコアなファンの需要が結構あるということ。日本国内に限らず、そんな昨今の業績の良さもあって徐々に今の技術者の人数では間に合わなくなりつつあるようで、今後は増員も視野に入れていくそうです。
視察の最後には、ZEROOの時計作りに関することや修理体制などについて幾つか質問させていただき、ひとつひとつ丁寧に回答ももらいました。
この様な(と言いながらこのブログで殆ど製品を説明していませんが 笑 )誰から見てもはっきりとした個性をもっている時計ブランドは、なかなか少ない思う。これに反論する人はいないと思います。
かつ、弛まぬ努力の結晶をあまり簡単な言い方で済ませると申し訳ないが、とにかく「素晴らしいコストパフォーマンス」。これも唯一無二(これこそ異論はないはず)。
そんな時計メーカーが日本にあり、このように簡単に(?)内部を見学させてもらえている私は、嬉しさで満たされ一日となりました。
今後にむけて新しいモデルの構想もいろいろあるようです。それが実るころ、またここに来れたらいいなと思っています。
まわりには自然の緑がたくさんあり、環境の良いところでした。長野の大自然とも違い洗練されている感じ。私が過去に訪れたスイスの小さな時計工房のそれや、あえて言えば長野は長野でも、軽井沢あたりの空気感にとても似ている、そんな素敵な工房でした。